エリート上司に翻弄されてます!
「そういう、ことじゃない……」
「っ……」
身体中で乾先輩の体温を感じる。
いつも後ろからのしかかってくるようなのとは全然違う。
乾先輩の腕の中に閉じ込められた私は直ぐ上に彼の存在を感じた。
強く抱き締められた体はこの事態をまだ把握できていないようだ。
「これからとか、そういうことじゃない」
彼はそう言うと更に私のことを強く抱き締めた。
まだ靴も脱げていないのに前に引き寄せられた私はそのままフローリングの廊下に上がってしまっていた。
それでも御構い無しに乾先輩は私の体を離さない。
「せ、先輩!?」
ようやく出せた声。甘えてくるようにして抱き付いてくるのとは全然違う。
何かに縋り付くような、逃げないようにするような抱き着き方。
耳元で彼の形のいい唇が動くのを感じる。
「日高と何してたの」
え?、と私は耳を疑った。
「今まで日高といたよね。俺がタクシー乗る前に2人で何処か行った。何してた?」
「……それは」
「何で行っちゃうかな。しかも2人で……」