エリート上司に翻弄されてます!




何で、と苦しそうな乾先輩の声を聞いて私まで胸がぎゅっと縮こまった。
怒っていたのは連絡をしなかったことじゃなくて、日高さんといたから?

でも乾先輩の知らない人ではないし。


「水川先輩が帰るまで家に帰られないと思ってたので、その時に声を掛けてもらって」

「……」

「少しだけ飲んでて、お話してただけですよ?」

「どうして日高が深桜ちゃんを誘うの」

「それは……」


それは、私と乾先輩が同居していることを彼が知っているから。
でもこのことを言うと何故黙っていたのかとまた怒らせてしまう。

何と答えようかと黙っていると、彼がボソリと耳元で囁いた。


「深桜ちゃん、日高のこと好きなの?」


見当違いなその言葉に私は「違います!」と反射良く返事をして顔を上げた。
すると近くなっていた距離に彼が私の顔を覗き込む。


「本当に?」

「っ……」

「じゃあ、何の話してたの?」


後ろから後頭部を支えられ、顔の向きを固定された。
吸い込まれそうな瞳に私は言葉を失う。

どうして私と日高さんが一緒にいたっていうだけでそこまで悲しそうな顔をするの?
ううん、悲しいじゃない。何か、苦しんでいるかのような、助けを請う表情。




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