エリート上司に翻弄されてます!
私は一口口にすると「美味しい」と感想を漏らす。
「だろ?」
「っ……」
それを聞いた乾先輩が嬉しそうに目を細めた。
私は乾先輩のファンとかではないけれど、その表情は流石に狡いと思う。
それに料理している間に彼はネクタイを外し、かなりラフな格好になっていて、そんな乾先輩を見るのも新鮮だった。
私は彼と一緒に食事を取りながら今日のことを話し出す。
「と、取り敢えず今日は今からどこに行くとかも無理そうなのでお邪魔させていただこうかなと」
「うん、全然いいよー」
「でも明日はちゃんと泊まるところ見つけるので」
「えー、何で?ずっとここに居ればいいじゃん」
「いや、そういうわけには……」
私が遠慮しようとしているのに対し、彼は焼き魚に手を付けながら「俺がいいって言ってんのに」と文句を漏らす。
「ただでいいんだよ?何も気を使うことないって」
「気を使いますよ!それに会社の上司の家なんかに上り込むだなんて」
「知らない奴の家に上り込むより全然平気だと思うけど」
部屋1個余ってるしホテル泊まるより全然便利だけど、という言葉にぐっと惹かれそうになる。
確かに私はまだ働き始めて2年目のペーペーであり、そんな豪華な暮らしはできやしない。
だからこの宿泊代無料という言葉は物凄い魅力的なのだ。
だけどもし会社に私が乾先輩の家に住ませていただいているなど知られたらどうなる。
確実に彼のファンクラブには目の敵にされるだろうし、きっと乾先輩の迷惑にもなってしまう。