エリート上司に翻弄されてます!




耳に届いたその声に私はバッと顔を上げた。
恐る恐る振り返ると入り口に乾先輩が立っていた。

宮根さんが気付いて声をかけたようだ。


「金曜日大丈夫だったんですか?ぐでんぐでんでしたけど」

「何とか……それより」


と、乾先輩の視線が私のデスクの方へと向きそうなのを悟ると慌ててそこを離れて部屋の外へと逃げようとする。
やっぱり実際に会うと緊張してしまう。体が勝手に動いた。

私は逃げ込むところもなく廊下を早足で歩く。
すると曲がり角でしっかりと前を見ていなかった私は向こうから曲がってきた人と体がぶつかった。

その人の胸元に飛び込んだ私は微かに煙草の匂いを感じた。
顔を上げるとそこに立っていた人物を見て固まる。


「ひ、日高さ……」

「……」


日高さんはぶつかってきた私のことを冷たく見下ろす。
その視線に背筋が凍った私は「ひぃ!」と慌てて彼の体が離れた。


「す、すみません!ちゃんと前見てなくて」

「あ?見なよ」

「本当にすみません!」


慌ててたもので!、と朝から苛々しているのか彼は不機嫌のようらしく、いつもよりもオーラがどす黒く感じた。
私はそんな彼に向き合うようにして立つとこの前の金曜日のことを思い出し軽く頭を下げた。




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