エリート上司に翻弄されてます!
乾先輩の視界が私を捉える。
その視線にビクッと反応すると彼はその目を細めた。
「綾瀬もおはよう。相変わらず早朝出勤かー」
「あ、は、はい……」
いつも通りの乾先輩に私が緊張しながら返事をするためか、隣にいた日高さんの不審な視線を感じた。
どうやってこの場から逃げようかと思考を巡らせる私だが、それよりも乾先輩の方が先手を打った。
「ちょっと綾瀬に頼みたいことあるから資料室まで来てくれる?」
「……」
普段の声よりも低く感じるその声。
私はそんな彼から逃げることが出来ないことを悟った。
私と乾先輩のただならぬ空気を感じ取ったのか、日高さんは「じゃあ」と、
「俺はもう行きます」
「おう、今日の昼の打ち合わせだけよろしく」
「分かりました」
そう言って日高さんは私たちに別れを告げてその場から立ち去ってしまう。
思わずその手を掴みかけたが乾先輩がいる手前、そんなこと出来るわけがなかった。
「じゃあ行こっか」
「……」