エリート上司に翻弄されてます!
乾先輩の笑顔が怖い。これだったらまだいつものウザいナルシストトークをしていてくれていた方が気が楽だ。
歩き出した彼の後ろを少し間を空けて歩き出す。
連絡しなかったこと、また怒られる気がする。
それからあの話に触れられるのが本当に怖い。どっちの方向だろうと。
今、彼の存在が凄く怖い。
資料室に入った彼は電気を付け、中に誰もいないことを確認すると私を入らせた。
向き合うように立つと後ろでたった1つの逃げ道であるドアが大きな音を立てて閉まった。
乾先輩の顔が見れず、床ばかり見ていると目の前の彼がはぁと溜息を付く。
「良かった、逃げられなくて」
逃げていましたけど、とは言えず、私はその言葉にこくんと頷いた。
「もう俺の話聞いてくれないかと思った」
「……そんな、周りから怪しまれますし」
「……」
あのさ、と彼の気配が近付くのを感じる。
「2つ謝りたいことあるんだけど」
「2つ?」
「1つは怒っちゃったこと。本当にごめんね」
違う、あれは私が連絡するのを忘れていたから。
沢山心配を掛けてしまったのは私だから、私が謝らないと駄目なのに。
顔を上げると乾先輩は先程の怖い表情ではなかった。