エリート上司に翻弄されてます!
「え、と……これで冗談だったら怒りますよ」
「俺がいつも変なこと言ってるからだな?残念だが冗談ではない」
「……」
「騙してて悪かった。でもそうでもしないと深桜ちゃんと一緒にいられないって思って」
「一緒にって、まさか上司が一緒に暮らしたがってるなんて思ってませんでした」
「あはは」
あの私が知らないおじさんに話しかけられたときから、私が住むところを探していると話したときから、彼はここまでの計画を組んでいたんだ。
それなのに全く気が付かなかった私はホイホイと釣られて居候をして、どう考えても馬鹿じゃないか。
「深桜ちゃん、今どこに住んでるの?」
「……」
可愛い後輩を助けたいとか、全く思ってなかった。
「小牧の家です」
「そっか、今日会えなかったら警察に連絡する予定だったんだ」
「や、やややめてください」
こんなただの恋愛の拗れで警察沙汰にしないでください。
私が目線を上げると乾先輩が私を見て優しく微笑む。
彼の笑顔にドキドキしたことは今まで何度かあった。
けれどそれは彼の顔が整っているからでそれ以上の理由はなかった。
この笑顔から逃げたいと思うのは彼の瞳がちゃんと笑っていないように見えるから。
私のことをただの後輩だと思っていないから。