エリート上司に翻弄されてます!




私が、


「……あ」


私が、彼を男性だと認識しているから。


「あの、私……」


返事、しなきゃ駄目だ。だけどしてしまったら何かしら無くしてしまいそうで怖い。
何か言わないと、沈黙が怖い。彼の視線が、怖い。

何か、


「あのっ」

「無理して戻ってこなくていいよ」

「……え?」

「だけど俺の前から急に消えるのはやめてほしい」


流石に凹む、と彼はその綺麗な顔を歪めた。


「返事、ゆっくりでいいから。よろしく」

「っ……」


いつもよりも短かくポンと私の頭に触れると彼は空気を読んだのかそそくさと資料室から出て行った。
私はドアが閉まるのを確認するとぺたんと地面に座り込む。

緊張した。今まで乾先輩と話すときあんな風になったことなかったのに。
返事なんて全然思いつかないし、この状況でもまだ話を理解出来ていないというのに。

キャ、キャパオーバー……




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