エリート上司に翻弄されてます!
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とんだ馬鹿をやってしまった。こんなのは美しい俺らしくない。
こんなタイミングで言うつもりなんて全くなかったのに。
「(たかが嫉妬くらいで今までの苦労を水を泡にするつもりか……)」
深桜ちゃんの前で幾度も先輩を演じ、やっと一緒に暮らしていても俺への警戒心が消えていた時期だというのに、それを崩してしまった。
しかももう1度やりなおしなんてない。マイナスからのスタートだ。
「おい、何ぼーっとしてんの」
「いたっ……」
仕事をしている深桜ちゃんを見つめていると同期の水川に頭をペットボトルで殴られた。
「やめろよ!俺は俺の顔に傷を付けるやつが1番嫌いだ!」
「はいはい分かったから。それ仕上げないとマズイんだろ。考え事してる場合じゃないって」
「……」
同期で慣れ親しんだ関係だからか、ある程度考えていることが相手には分かってしまうらしい。
流石にそれが深桜ちゃんのことであることには気が付いていないだろうけど。
俺はそんな水川の顔を見つめて、
「うん、やっぱり俺の方が美しいな」
「つくづくウザいな」
「あと休憩行った後に俺のところくんのやめて。その匂い嫌いなんだよ」
「ん?何、煙草」
「うん」