エリート上司に翻弄されてます!



凄い汗だ、いつもフローラルな香りを漂わせている乾先輩では無い。
こんなに弱っている彼は珍しい。

熱、下がってないみたい。


「先輩……」


起こすのは気が引けるが勝手にお邪魔させてもらうのも悪いので私は軽く彼の体を揺らした。
彼が魘されるように息を吐いたので私は思わず手を離した。

思っていたよりも辛そうだ、と思っていると彼の瞼がピクリと動いたのが見えた。
すると乾先輩は眠りから覚めたようで、薄くその瞼を開く。

瞼が重たいのか、それ以上は開かない。
苦しそうに熱い息を吐き出した。


「せ、先輩……」


私がそう言えばその薄く開かれた視界が私の顔を映した。
重たげなその瞳にいつもの輝きは無い。


「深桜ちゃん?」

「あ、はい。いきなり来てごめんなさい。お見舞いに来ました」

「……」


まだ意識が起き切っていないのか、おぼろげに私を見つめる彼。
すると彼の唇が微かに動くのが見えた。


「何だ、夢か……」

「っ!?」


伸びてくる手に抗えず、手首を掴まれた私はそのままベッドへと引きずり込まれた。



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