エリート上司に翻弄されてます!
「ご飯食べました?」
「……そういえば今日は何も食べてない」
「そうですか、でも何か食べないと力付かないし。何か作ってきますね」
「……」
立ち上がると私はキッチンへと戻ろうと寝室を出ようとする。
私がドアノブを掴んだ時、後ろから「ちょっと待って」と声がした。
「いいよ、俺と一緒にいたら深桜ちゃんが風邪引いちゃう。今日は帰って」
「でも、買い物行ってきたし」
「後で使わせてもらうから。小牧ちゃんのところ帰りな」
「……」
様子が可笑しい乾先輩に私は首を傾げる。
病人がこんなに気を遣うことなんてないのに、それに私となんて暫く一緒に暮らした仲だ。
「でも、帰るなら折角だし作ってから帰ります」
「……」
じゃあ、とドアを開いて廊下へと出る。
そして閉めようとするとガッと音がしてドアが動かなくなった。
いつの間にか乾先輩がベッドから出てきており、ドアノブを掴んでいたのだ。
「聞き分けの悪い子だな」
暗闇の中で彼の低い声が響いた。