エリート上司に翻弄されてます!
乾先輩は香水を掛けない。
掛けなくても体臭の香りが良いと豪語していたから。
だからこれは……
「(桐乃さんの匂いだ……)」
乾先輩が彼女と一緒にいる場面を思い出して私はどうやって表情を作っていいか分からなくなった。
2人でいるのを見れば見るほどに、私の心の中に暗雲が立ち込める。
私は彼のジャケットを抱きしめたままソファーへと座る。
こんなムシャクシャした気持ちになるのは初めてだ。
いつか彼は私を好きじゃなくなる。
だからそれを覚悟しておくんだ。
そうしたらここの家にもいられなくなる。
「嫌だなぁ……」
ひっそりと漏れたその言葉は私の耳にも入っていなかった。
私には私の本音がわからない。
だけど1つだけ言えるとしたら、絶対このままじゃ駄目だ。
このままでいたら、ただ終わるのを待っていることしか出来ないから。
でも今更彼との関係を変える勇気すら私にはない。
私はただの臆病者だ。
乾先輩、
「(どうしたらいいの)」
私は先輩との関係を変えたくないです。でも変わらなきゃ駄目なんです。
ただ先輩の側にいたいんです。それだけです。