エリート上司に翻弄されてます!
耐えろ、ここで何かを仕出かしたら完璧に信用を失うぞ。
「深桜ちゃんはいい子だねー」
「……」
泣いている子供を宥めるように言葉を吐くと一瞬だけ彼女の体から力が抜けた。
その隙に引っ張ってジャケットを取り戻した。
ジャケットに抱きしめたときに付いた皺がある。
直すの勿体無いなぁ。
俺は深桜ちゃんの体を抱き上げると彼女を部屋へと運んだ。
別に深桜ちゃんの部屋を覗くのがこれが初めてのはずではないのだが、やはりドアの前では少しだけ戸惑った。
彼女らしくなく、布団は出しっぱなしだった。
俺は彼女の体を敷布団の上へと寝かせるとその上から布団を被せてあげた。
彼女の寝顔に掛かった前髪を捌けると1つ息を吐く。
「深桜ちゃん……」
もう少しだから、もう少しで元に戻るから。
頑張って何も危害を加えない、ただの先輩に戻るから。
ゆっくりでいいから、俺に心を許してほしい。
だから、
「あんまり俺の前で無防備でいないで」
君は俺にとって特別な女の子なんだから。
凄く大事にしたいのに、たまに強引に迫りたい衝動に駆られる。
君を俺のものにしたいんだ。
ただ、それだけなんだ。