エリート上司に翻弄されてます!
と、
「恵剛くん!」
耳に届いたその声に顔を上げると彼の隣に女性が並んだ。
お洒落なコートに身を包んだ彼女の顔にも見覚えがあった。
桐乃さんだ。
「ごめーん、遅くなったー」
「何選んでたの」
「顔パック、最近肌乾燥するから」
「分かるわー超分かるー」
「男の恵剛くんに分かられても複雑なんだけど」
「俺の生まれ持ったこのシルクのような肌を保つために努力を怠っていないだけだ」
普段よりも崩れた口調で話す桐乃さんに乾先輩は通常運転で話を続ける。
あれ、この2人ってこんなに仲よさげだったっけ。
高校の同級生、なはずだよね。
それだけなんだよね。
肩を寄せ合って話す2人の姿は前に語ったようにやはり絵になった。
絵になりすぎて、自分が要らないものとして排除されそうになるぐらい。
近付けない。
飲みってもしかして、桐乃さんとのってこと?
だから日高さんは参加していなかったの?
私は耐えられなくなってその場から離れると駆け足で反対方向へと走った。
いつまでも2人の並んでいる姿が頭の中を過る。
そうだよ、私は勘違いしていた。