エリート上司に翻弄されてます!





でも、


「(誰かと電話してる?)」


乾先輩は手すりに凭れながらスマホを片手に通話をしていた。
こんなに綺麗な花火が上がっているのにそちらには興味がないように思える。

私は彼に気付かれないように物陰へと隠れた。
彼の通話の声が花火の音にかき消されながらも聞こえた。


「うん、ごめん……音?あぁ、花火が上がってて……そう、社員旅行」


通話の相手に音が五月蝿いと言われたのか、彼はデッキを降りていく。
私もその後を追っていった。

乾先輩の口調から仕事の電話ではないらしい。


「そう、お疲れ様……うん、今は大丈夫だけど」


何の話をしているんだろう。
あんまり家の中でも彼が友達とかと電話しているのを聞いたことがない。

と、


「桐乃?」

「っ……」


花火に掻き消されることなく聞こえたその名前に私の動きは止まった。
彼の通話の相手は桐乃さんだったのだ。

そう言えば最近彼女の姿を見ていなかった。
でもこっちの仕事が終わったということは向こうも同じということで、自然と2人が会う機会はなくなったはずだ。



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