エリート上司に翻弄されてます!
それももうないんだ。
そりゃそうか、私が出て行って清々するよね。
「じゃあ、今週末とかに引っ越しの準備しよっか。手伝うよ」
「……はい」
これで私が出て行けば乾先輩は家に桐乃さんを呼べる。
彼らの邪魔はあんまりしたくない。
というよりも2人でいるところを見たくない。
それが本音なのかもしれない。
週末、自分の部屋を片付けているとリビングから乾先輩が顔を覗かす。
「深桜ちゃんフライパンとかいる?」
「え!?何でですか?」
「このフライパン愛用してたから。これも深桜ちゃんに使ってもらいたいと思うんだ」
「先輩フライパンと友達なの?」
「長い付き合いだからな」
フライパンを抱き締める乾先輩を痛い目で見るささっと退散して行った。
でもあのフライパンをくれるというのなら是非とも貰いたい。
こうして片付けを始めてみたら思ったよりも自分の荷物が少ないことに気がつく。
洋服ばかりが部屋から出てきて、実質私が持ってきたのはあんまりなかった。
彼は掃除はしなくていいとは言ってくれたけど、長いことお世話になったこの部屋を掃除するのは私の役目だと思った。
「(思い出あるなぁ……)」