エリート上司に翻弄されてます!
乾先輩の車でマンションへと送ってもらうとその外装が前とはガラリと変わっているのが分かった。
きっと外壁も塗り直したんだろうな。
洋服の荷物が多いからと乾先輩は荷物を部屋まで運んでくれた。
部屋の中も綺麗になっており、管理人から水道管も治ったと聞いた。
「しかしこの部屋がびしょ濡れねー。それは大変だったな」
「はい、もうあんな悲劇は嫌です」
「それにしても深桜ちゃんの部屋って初めて見たけど全然物ないね」
「女の子っぽくなくてすみませんでした」
お陰で濡れるものは何もなかったんだけど。
お茶を入れるものもなかったのでそのまま彼のことをマンションの出入り口まで見送る。
朝から引っ越しの準備をしていたというのに部屋を出るともう日が落ちかけていた。
「すみません、休日なのに」
「やることなかったから別にいいよー。それより困ったことあったらいいなよ。このスーパーイケメンヒーロー恵剛くんが助けてやるよ」
「絶対呼ばない」
「んだとこのやろー」
可愛くないなー、と乾先輩は私の頭に手を伸ばすとグリグリと髪の毛を掻き混ぜる。
こんなに自然に彼に触れられたのは久しぶりかもしれない。
もうこの人をこんなに近くに感じることはないんだ。
「先輩」
「ん?」