エリート上司に翻弄されてます!
そう言って慌てて寝室を飛び出した。
そして必要なものを鞄に詰め込むと玄関へ足を進める。
何可愛いって言われただけでこんなに慌ててるんだ。
男の人に免疫ないのバレバレすぎる。
恥ずかしい、と足をヒールへと突っ込むと後ろに気配を感じた。
振り返ると壁に頭を凭れるさせている乾先輩が突っ立っていた。
その体な大きいくせに寂しそうな表情でこちらを見つめる姿は飼い主を見送る大型犬のようだ。
「深桜ちゃん、夜遅くなったり誰かの家泊まるんだったら必ず連絡してね。心配だから」
「あ、はい。します」
「ていうか本当はそんなこともしてほしくないんだけどね。そんなこと言ったって無理な話だね。行ってらっしゃい」
「は、はい……?」
途中乾先輩の言葉の意味が分からなくなり、ただ立ち尽くしていると彼は「ん?」と首を傾げた。
「あ、こんなイケメンに見送られて会社行きたくなくなったんだろ?いいよ、行ってきますのチューぐらいなら……」
「行ってきまーす」
私はそそくさ彼に背中を向けるとマンションの部屋から出る。
外へと出ると1つため息を吐く。
こんな調子で彼氏が欲しいとか言ったら笑われちゃうかなぁ。
乾先輩が時間通りに会社へ出勤出来るか心配でドアを振り返ると再び歩き出した。
私にもし彼氏ができたら乾先輩はなんて言うんだろう。
もしかしたらもう私にのしかかってきたりする事はなくなるのかな。
そうなったらかなり楽に仕事に専念出来るな。