エリート上司に翻弄されてます!




その質問に「わ、私は……」と言葉が詰まる。
どうしよう、間違えて帰ってきたなんて言えないし。


「わ、私も家がここら辺でして」

「そうだったんだ?」

「……はい」


それよりも私は桐乃さんがここにいる理由が気になって仕方がなかった。
乾先輩は何もないって言っていたのに、彼女が彼に家を訪ねてくるなんておかしい。

自然と手に力がこもった。

と、


「恵剛くん、最近どう?」

「え?」

「ちょっと調子悪いって言ってたから会社で何かあったのかなって」

「っ……」


そう言われて頭に思い浮かぶのはあの資料室での出来事。
でもこんなこと、桐乃さんに言えることじゃない。

だって桐乃さんだって彼のことが好きかもしれないのに。


「き、桐乃さんはどうしてここに」

「私?」


こんな夜遅くに彼がいない家に訪ねてくるのは可笑しい。
もしかして彼女も同じマンションに住んでいたのか?それじゃあ私が気が付かないのも変だ。

しかし彼女から返ってきた言葉は私をもっと動揺させる。



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