エリート上司に翻弄されてます!
どこかでこの選択が正しいって、思ってしまっている自分がいる。
私は日高さんの視線を感じながら彼の番号に電話を掛けた。
彼は今仕事中だろうか。
それでも私の電話に出てくれるのかな。
「(一言目、何で話せばいいんだろう……)」
いきなり電話なんて掛けたら絶対に驚くと思う。
私は耳元に響くコール音を聞きながら身体中に脈を打つのを感じていた。
「……出ない、です」
暫くした後、彼は通話に出ることなく留守番電話になってしまった。
戸惑いがちに私は日高さんのことを見る。
「あの……」
「……」
どうしたらいいんでしょう、と語りかけようとするとその前に彼が口を開いた。
「休みの間に絶対電話しろ。そんで話聞いて」
「っ……」
「月曜にまた失敗したら承知しないから」
彼はそう言い残して腰を上げた。
私はそんな彼を引きとめようとして腕を伸ばした。
しかし、
「逃げんなよ」
そう振り返って睨みを効かされた私はそのまま固まってしまった。
逃げる?私は逃げてるの?
日高さんから見たらそう見えるのかな。
逃げずに、向き合う。
乾先輩もそうしてくれるのかな。
出て行ってしまった彼の余韻に、私はただ打ちひしがれるだけだった。