エリート上司に翻弄されてます!




そして顔を上げると、


「絶対にまたご飯おごりますね!美味しいの!」

「じゃあ寿司ね」

「すっ……わ、分かりました!回転寿司でよければ!」

「舐めてんの?」


早く行けば?、と悪態付く日高さんに「はい!」と返事をすると荷物を取りに部署へと向かった。
慌てて帰る準備をするも周りから「どうしたの?」と声が掛かる。


「あの、凄く大事な用事が出来たので今日は帰ります!明日からの仕事全部任せていただいて構いませんので今日だけは許してください!」


そう告げると私は鞄を持って部署を出ようとする。
すると入口に立っていた日高さんと目が合った。

私はもう1度彼にお礼をするとその隣を通り抜ける。
その瞬間、背中を押された気がして、私はその勢いに乗るように一気に走り出しだ。

会社の外に出て慌ててタクシーを拾うと行き先を告げる。
そして鞄の中からスマホを取り出すと彼からの留守番電話を繋いだ。

走ってきたからか、まだ胸がドキドキ言っている。
収まらないその動悸に私は手を胸に起きた。

そしてタクシーが動き出すのを感じると静かに留守番電話のメッセージを再生させた。


『……深桜ちゃん』


耳に届いたのは私が好きな彼の声だった。
優して、甘くて、そして柔らかい彼の声。

それだけで涙が溢れそうになった。



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