エリート上司に翻弄されてます!





冷たい目で見つめると彼が安心したように微笑んだ。


「遅くなるんだったら連絡しろよ。あれだったら迎えに行くし」

「……本当に大丈夫です、ありがとうございます」

「うん、気を付けてな。楽しんでこいよ」


じゃあ、と言うと乾先輩は私に背を向けて駅の方へと歩き出した。
その背中を目で追いながらさっきの言葉の意味を理解する。

きっと私が気を遣いすぎたから気を利かせて敢えて引かせるようなことを言ったんだ。
私がこういうことを気にするタイプっていうのを分かっているから。

その後ろ姿が、今まで見た中で1番格好いいと思った。
彼は顔だけじゃないから、だから狡いんだ。

彼のハーレムにいるファンたちは知らないだろう。
彼の本当の格好いいところ。

だけどそれを誰かに伝えることはないんだ。

私は小牧に電話を掛ける。


『ちょっと深桜!?どんだけ時間掛かってるの!?』

「……ごめん」

『え!?』

「私、今日行けなくなった」


は!?、と声を挙げる小牧を無視して私は通話を切った。
そして目の前のその背中を追い掛ける。

もっと、ちゃんとお礼言わなきゃ。

先輩!、と私はその背中に飛び込んだ。




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