エリート上司に翻弄されてます!
そんなことがあったなんて初耳な私は「もう忘れてください」と今にも消えそうな声で呟いた。
と、
「ううん、忘れない。だって俺それで深桜ちゃんのこと好きになったし」
「え?」
「その時に思った、この子の努力は世界で1番美しいなって」
乾先輩はそう言い終わると「分かっていただけただろうか」と笑って見せた。
自分がそんな風に思われていたなんて、思い返すと凄く恥ずかしい。
「そんなこんなで深桜ちゃん大好きになっちゃってー」
「そこはいいですよ」
「釣れないなぁー。まっ、俺に愛されて照れるのも愛らしいぜ」
「お腹空いたなぁ」
「ちょっと、構ってくれないとここで噛み付くよ」
「っ!?」
「冗談」
乾先輩は口調で冗談なのか冗談でないのかが分からないからいちいち反応に困るのだ。
彼は少し私が距離を離したのを見て妖艶に笑う。
「そうだね、俺には少し気を張ってた方がいいよ。いつ本気になって食べちゃうか分からないしね」
「……狼」
「男は全員そう」