エリート上司に翻弄されてます!
ぽとっとお箸からフレンチトーストが落ちた。
この人、もう一生口を閉じていてもらっても構わない。
「な、何言ってるんですか。無理に決まってるでしょ!」
「何で?」
「何でって、もし誰かに見られたらどうするんですか!」
「大丈夫だって。それに見られてもデートですって言えばいい話だし」
「全然良くない!」
デートですって言って納得する人何処にいるんだ。
会社の上司と部下が休日一緒に出掛けていたら可笑しいでしょ。
それにそれがファンの人に伝わったりしたら……
「(死っ……)」
それを考えるだけでぶるりと体が震えた。
なのに彼はそんな私のことなんか知らず、呑気に文句を漏らす。
「えー、行こうよー。たまにはさ」
「嫌ですよ」
「一緒に暮らしてるのに出掛けたことないって」
「暮らしてるだけですから」
「……」
乾先輩はコトンとナイフとフォークをテーブルに置くとじっと私の顔を見つめた。
そしてくいっと首をあざとく傾げる。