エリート上司に翻弄されてます!
「お願いだよ、一緒に行こうよ」
「ぐっ」
そんな捨てられた子犬のような顔されたって、ゆ、揺るがないんだから!
そう思いつつ、私の気持ちはぐらぐらと左右されてしまっている。
飼い犬とかに甘えられたらきっとこんなんなんだろうなぁ。
「……変装とか、してくれます?」
「何、俺芸能人なの?」
「い、一応ですよ」
「まぁそうか、俺のオーラは芸能人にも勝るからな。注目を浴びて困るってことだな」
「やっぱり1人で行こうかな」
「嘘です嘘です」
これ食べたらすぐ準備するから、と乾先輩は再びフレンチトーストを頬張った。
何でそんな嬉しそうなんだろう、と私も疑問に思いながら口へと運んだ。
出掛けるだけ、出掛けるだけっと思っていながらも嫌でも意識してしまう。
性格はアレだけど顔は一級品の彼の隣に並んだとしたら私なんて存在が掠れてしまうだろう。
「深桜ちゃん可愛いー」
「……」
だから結構張り切ってしまったりして。
持っている服の中でもあんまり着ることのない洋服を身に付けた。
乾先輩は私が着替えて準備が出来たのを確認すると「じゃあ行くか」と玄関にあった車のキーを手に取った。