白鷺の剣~ハクロノツルギ~
「……うん」

私がぎこちなく返事をすると、白鷺は小さく溜め息をついた。

「……宗太郎との方が良かったか」

「……どうして?」

私が首を傾げて白鷺を見ると、

「別に」

白鷺は短くそう言うとクルリと背を向けた。

怒られても仕方ない。

だって白鷺一翔を奪われたんだもの、私のせいで。

だったら、ストレートに責めて欲しい。

「白鷺」

私の声に白鷺が再び脚を止めて踵を返した。

「ごめん。本当にごめん。私のせいで刀を以蔵さんに奪われてしまって」

白鷺がホッと息をついた。

「もういいと言っただろう。それにあれはお前のせいじゃない」

「本当に刀の事、怒ってないの?」

「ああ」

「じゃあ、なんで不機嫌なの?」

白鷺がぎこちなく私から眼を反らした。

「不機嫌でもない」

「絶対なんかおかしいもん。いつもそうじゃん。私といる時はいつも機嫌が悪いじゃん」

胸が苦しくて、どうしていいのか分からない。

「何か思ってるなら正直に言ってよ」

本当は、迷惑がられている事くらい分かってる。

けど、私には行くところがない。
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