そこにいた
そんな言い争いをしていたら、シャットカーテンが開いて、
お母さんが部屋に入ってきた。
「先生っ!!!綾子が失礼なことを申し上げました。
大変失礼致しました。」
そう深々と頭を下げる。
「お母さんっ!!!頭なんて下げなくていいから。」
そう言ってもお母さんにうるさいと返され、お母さんは頭を下げていた。
もううんざり。
何がドナーよ。移植よ。
もうこんなのたくさん!!!
気づくと涙が止まらなかった。
自分の本当の気持ちを素直にぶつけることができなくて。
今のイライラした気持ちを亮先生にぶつけただけ。
冷静になって、上手く言えなくて……。
ひどく痛む傷口。
亮先生に大声でぶつけるたびに、傷口が開いている気がした。
力が入る度に、広がっているような……。