そこにいた
「おはよう、綾ちゃん。
あらら……我慢し過ぎて、余計に傷がひどくなってる。
昨日は眠れなかったんじゃない?」
武田先生がやってきたことは分かった。
けど、その言葉を聞きながら、麻酔のおかげで痛みがすっかりなくなって、ウトウトし始めていた。
次第に昨晩寝られなかった分、猛烈な睡魔がやってきて……。
寝付くか寝付かないかのところで、意外な言葉を耳にした。
「武田先生の傷はどうですか?
休みがなくて、術後、そのままでしょう。」
そんな言葉に武田先生が手術を受けたと聞いて驚いた。
だけど私は、それを深く受け止めず、眠りに入っていった。