そこにいた
一晩中眠れなかったからか、傷口を治す時に軽く麻酔をしただけでぐっすり寝てしまった。
内科に戻ってすぐだけど、もう食事が始まるみたい。
だけど、あんまり食欲がない。
この手術さえなければ、いつものように今頃病院を抜け出していたかも知れない。
あの時は眠くてあまり考えなかったけど、あの時の亮先生の言葉……。
まだ耳から離れない。
「大事な存在」
微妙に気になってしまう。
だけど反発する精神は変わらない。
今でも移植手術を勝手にしたことは、許せない。
……と色々考えていたけど……。
体はとても弱っているようで。
……疲れてきた。
心も体もボロボロだよ。