かわいいあなたにマフラーを
「い、嫌じゃ、ないよ?
全然嫌じゃない。
お願い、しても良いかな?」

思ったより外暗くて、実は少し不安だったの、と恥ずかしそうに小さく笑う彼女は、やっぱり可愛くて。
俺はとくんと胸が鳴るのを感じた。

「あ、じゃあ俺は先に行くから。
戸締りよろしく」

緑木が教室を出て行った。
すれ違いざまに、
「良いチャンスじゃん?」
と呟いて、ウインクして笑っていた。

男のウインク……って思うけど、爽やかイケメンな緑木がやると似合うんだ。

俺と静谷は手分けして教室に戸締りをして、最後に鍵をかけた。
職員室に鍵を返して、一緒に正面玄関に向かって歩く。
< 14 / 99 >

この作品をシェア

pagetop