かわいいあなたにマフラーを
「え、いいよわざわざ。
悪いし。一人で帰るよ」

静谷は緑木を見て、それから俺を見て、片手を顔の前で左右に振った。

気にしてくれてありがとね、と教室を出ていこうとする静谷を、俺は思わず呼び止めた。

「待って、静谷!」

「え?」

「全然悪くないから……。
送ってくよ。
静谷が、嫌じゃなければ、だけど……」

呼び止めたのは良いんだけど、普段意識しすぎてなかなか彼女に話しかけられないヘタレな俺。

送って行きたいけど、彼女が嫌がったら? と、弱気になって語尾がだんだんと小さくなってしまった。

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