かわいいあなたにマフラーを
それから暫くして、会計と会長、それにノート書記係の野上も仕事を終えて帰っていった。

生徒会室にる居るのは、俺と井口だけ。

「井口? 一番最初に仕事終わったんじゃないのか?
まだやること残ってた?」

俺は、いつも他のメンバーより早目に会議室を出る井口が残っていることを疑問に思って、何となしに聞いてみた。

入口付近で立ちつくしている井口は、特に何をしているわけでもないようだし、別に先に帰ってても良いのに。

書類をまとめてファイルに閉じて、席を立つ。

「笹野君、あたし……!」

「どうした? 井口」

何やら思いつめたような物言いにファイルから顔を上げると、井口が俺に向かってきた。
< 39 / 99 >

この作品をシェア

pagetop