かわいいあなたにマフラーを
「こないだも知らない男と歩いてるの見た。
……静谷、大人しそうなのに結構遊んでるんだな」

俺は吐き捨てるようにそう言って、教室を出た。

「え……?」

目を見開いて驚いた顔をした静谷は、自分の席から動かなかった。

追いかけてくるとか、違う、って言うとか、しないんだな?

そっか、そっか……。

俺は虚しくなって、一人帰路についた。

翌日、俺は静谷に話しかけなかった。
静谷からも、一切話しかけられなかった。

緑木が心配そうに俺と静谷を見ていたけれど、何も言わなかった。

俺は午前中、ずっとイライラして過ごしていた。

そして昼休憩になった時の事だった。
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