かわいいあなたにマフラーを
彼女が他のマフラーを編んでいる姿を見ていたから分かる。

このマフラーは、いつもの毛糸より細い毛糸で編まれている。
その分手間がかかっている、と言うことだ。

彼女のぬくもりに、きめ細かな肌触りに、心の暖かくなる。
俺は嬉しくなった。

「ありがとう、秋穂……!」

思わず、彼女を抱きしめる。

「わ、あれって副会長だよね?
いつもクールなのに、結構大胆じゃん!」

「いいなぁ、ツリー前でドラマティック」

部活中なのか、ツリーを見に来たのか、とにかく中庭には終始人がいる。
そんな中彼女を抱きしめる俺は、目立ってしまっていた。

そんな声をちらほら聞きながらも、俺は秋穂を離したくなくて、抱きしめていた。

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