Pathological love
何時もの様に、美保ちゃんを弄って二人でじゃれあっていると、廊下の方から何やらざわざわと騒がしい声がしてきた。
「美保ちゃん、来たんじゃない?そこら辺の資料少し整えて置いて。」
「はい。………でも、結構人数多そうですね?」
「うん。一人かと思ってたけど、5人以上はいそう。」
そうこうしているうちにドアのノックが響いた。
少しだけ緊張しながらも返事をすると、加藤ちゃんを先頭に、ぞろぞろと女性が入ってきた。
一様にハイファッションな一行で、明らかに会社員には見えない。
加藤ちゃんの横には60代くらいの女性が案内されている。
恐らくトップであろうその女性は、群を抜いて洗練されたシンプルな着こなしで、高級感が漂っている。
「こちらの部屋は、主に来客との打ち合わせに使っておりますので更に設備は整っております。隣の部屋にはメイクルームと美容機器が備え付けられております。ご覧になりますか?」
「ええ。」
私達は一礼して端に寄って一行が過ぎ去るのをじっと笑顔で待っていた。
隣の部屋から戻って来ると、先頭にいたその女性と目があってしまった。
「あら、あなた………良いわね?」
「?!」
どんどんと近くに寄って来る女性に、私は為すがまま動けないで居ると、目の前まで来たその女性はジロジロと何やらチェックをし出した。
「うん…やっぱりいいわね…萌木。この方に名刺を。」
「はい、代表。」
(えっ?代表?!)