Pathological love
『あのCMに出て来る女性は、俺にとって、とても大事な二人をモデルにしたんですよ。』
『二人……ですか?』
『はい。一人はこんな歳して恥ずかしいのですが、母親なんです。最近まで話もしなくて、漸く少し話せる様になったんです。今度一緒に仕事もする事になりました。』
『お母様ですか!フフッ……思春期がとても長かったんでしょうか?でも、秋山さんみたいな息子だったら、お母様も相当自慢でしょう!』
『いやぁ、どうでしょうか?母はバリバリの仕事人間なんで私なんかまだまだでしょう。』
『それで、もう一人の方が婚約者さんなんですね?恐らく視聴者の皆さんも興味津々だと思うのですが?』
『…………はい、そうです。もう一人は私の婚約者です。』
彼女を思い出したのか、優しい笑顔が零れた。
胸にまた、あの時の痛みが蘇る。
彼の幸せを願っていた癖に、幸せそうな彼の顔を見るのが辛いなんて、そんな自分に更に嫌悪感を感じた。
「外邑さん……私、もう帰ります……帰らせて下さい……お願い……です……。」
声が震えて泣きそうになるのを堪える。
もう限界だった。
『その人は、独り善がりに暗闇でずっともがいていた俺の心を救ってくれました。』
『それは意味深な表現ですね~?とても深い絆が伺えますが、結婚も間近なんでしょうか?』