Pathological love

「あなたを許す…………よ。」


「………………でも……私…………私………………。」


外邑さんは私の前に回り込んで、目を合わせるとにっこり微笑んだ。


「真実はきっとあの手紙の中にあるわ。自分の目で確かめて来なさい!!早くしないと凍えてしまうわ?」


「えっ?!」


外邑さんが指差す方を見ると、少し曇った温室のガラス窓の向こうの東屋に、人影が見えた。


「えっ?!」


「彼、ずっとあなたを待ってるわよ。行かないの?」


「えっ?!あっ!は、はいっ!!」


どうしてこんな事になっているのか分からなかったけれど
、気づいたら私は子供の様に、形振り構わず駆け出していた。

緑に繁る植物を掻き分けながら、必死に走る。

運動不足の身体は急激な動きに着いて行けず、息は切れ、途中何度も足がもつれて転んだけれど、痛みなど全く感じなかった。

温室のドアから飛び出すと、冷たい冷気が一気に私の身体を包んだ。

どんどん近付いて行く度にハッキリしていく人の輪郭、夢の様な現実と息切れによる眩暈。


“ あなたを許す ”


花言葉が意味する真実は、あの彼方に辿り着けば、分かるのだろうか?

漸く歩みを止めた先に、息も絶え絶えに私は顔を挙げた。


「はぁっ……はぁっ……はぁっ……はぁっ…………連理っ…………!」


「令子。お母さんからの最後の手紙届けに来たよ。」


懐かしい顔が私に向けられる。

連理の顔だ……。




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