2番目じゃなくて、2度目の恋
「そこそこ美人だし、それなりに愛想もあるし、常識もありそうなあなたが男に苦労してるようには見えないけど。どうしてお見合いなんて受けちゃったの?」
斜に構えてるな、と思った。
私を心なしか見下してるような、そんな気がした。
見透かしたような目で私を見ている。
この男、苦手かも。
ちょっと警戒心を強めながらも、ある程度は正直に話した方がいいだろうとたかを括って彼から視線を外した。
「父がお世話になってる相原支店長のお願いですから、断るわけにもいかなかったんです。現に恋人がいるわけでもないし、それなら会うだけ会った方がいいなって思ったから」
「ふーん、そう」
「望月さんこそ、乗り気じゃなさそうですね」
「いや、乗り気だよ」
彼は意外にもそう言って、再びコンソメスープを口に運んだ。
腕も組んで、足も組んでいて。
どう見てもお見合いに乗り気だとは思えない態度なんですけど。
私が眉を寄せて怪訝な表情を隠しもせずに顔に出していたら、彼はイスの背もたれにつけていた体をようやく起こしてテーブルに肘をつき、頬杖をついた。
「面倒だから恋愛には興味が無い。するつもりも無い。でも、恋人は欲しい。…………彼女がいないと周りがうるさいから」
「………………あのー……、言ってる意味が理解出来ません」
「この年で彼女がいないと家族や親戚があーだこーだうるさい。実際、こうやってお見合いまでさせられる。だったら少しの間だけでもあなたと付き合えばいいのかなって。別れたとしても、こいつは恋愛が長続きしないだけなんだって思われて、それ以上余計なことは言ってこないだろうから」
彼のもっともらしい話を聞きながら、どこか胡散臭さも感じ取る私の第六感。
どこまでが本当でどこまでが嘘なのか、いまいち読めない。
ただ分かることは、彼は周りに「恋人を作れ」と言われることに嫌気がさしてここへ来たということだった。
とりあえずの『偽恋人』を作るために。