強引上司と過保護な社内恋愛!?
「父親がわざわざ出向いてごり押しに行ったから、オランダ大使館の案件は美嶋建設で決まりだな」

肇さんは眼鏡を人差し指でクイっとあげた。

「余計な事しなくたって、落とせたっつーの」

桧山さんは不本意そうだ。

「まあ、そういうな。親心だろう」

肇さんは口の片端をあげてニヤリと笑う。

「そもそも其れを会社から期待されて営業に配属されたんだろうから」

「肇っ!」

桧山さんは、ジロリと兄を睨みつける。

「どうゆう事…ですか?」

肇さんの話しに私は思いっきり眉根を寄せてきき返す。

「父親のコネクションで暁に公共事業の仕事を取ってこさせようって腹づもりなんだろ、会社は」

肇さんは涼しい顔でグレープフルーツジュースをコクリと飲む。

「だから…機械部から営業本部へ移動になったんですか?」

技術職から営業職への転属は滅多にない事だ。

何かやらかしたのかと思ったらそんな事情があったなんて。

桧山さんは不機嫌そうな顔でムッツリ黙り込み、何も答えない。

「意地を張ってないでもっと父親のコネを有益に使って自分の価値を高めたらいいのに、暁は其れを頑なに拒む」

理解不能だ、と言って肇さんは小さく首を横に振る。
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