強引上司と過保護な社内恋愛!?
「真面目だよ。泉さんが可哀想だと思って言ってあげてるんじゃないか。口下手だから自分じゃ何も言えないんでしょ?」

「泉はどうなんだよ」

桧山さんは突然私に矛先を向けてきた。

その茶色い瞳がじっと私を見つめられると、泣きたくなってくる。

佐々木さんみたいに泣いて縋ったら、桧山さんは行かないでくれるのだろうか。

…そんなことある訳ないって解ってるじゃない。

「私には…関係ありませんから」

桧山さんは肩で大きく息をついて、私から視線を逸らした。

「なんか馬鹿みたいだな。それなのにこんなとこまで来て」

「まぁ、泉さんには俺がいるから罪悪感や未練に駆られることもなく、インドネシアでもなんでも行っちゃってくださいよ」

佑樹くんはへラリと笑って桧山さんの肩に手を置く。

「もう関係ありませんから」

桧山さんはその手を払いのけると、チラリと私を一瞥する。

そのまま何も言わず車に乗り込んだ。

どうしよう…桧山さんが行っちゃう。

だけど、私の足は地面に根っこが生えたように動かない。

エンジンのかかる音がして車はあっと言う間に走り去っていく。

「あの…泉さん…なんか、ごめんね」

佑樹くんは呆然と立ちすくむ私の顔を恐る恐る覗きこむ。

「…別に」

「エリカ様かよ」

憮然とした表情のまま答えると、すかさず突っ込まれた。
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