強引上司と過保護な社内恋愛!?
タクシーは見慣れた4階建ての白い外壁をした鉄筋コンクリートのマンションの前で停まる。

お金を払って、意識のない死体のような桧山さんを後部座席から引きづり出した。

子泣きジジイのようにずっしりと肩に重みを感じる。

ああ…このまま近所のゴミステーションに捨てておきたい。

しかし、明日は資源ゴミの日だった事を思い出す。

エントランスですれ違った若い女性がギョッとした表情で振り返る。

桧山さんを引きづりながらエレベーターに乗り込んだ。

エレベーターの正面に備え付けられた鏡に映る姿を見てため息が出る。

側から見れば、男を酔わせて部屋に連れ込もうとする痴女だ。

桧山さんの寝顔が可愛いから尚更。

3階でエレベーターが停まると、死体のような桧山さんをズルズル引きづりながらなんとか自分の部屋に到着する。

桧山さんからスーツの上着を引っぺがし、ごろりとベッドに転がすと、着替えもせずにその場に膝から崩れ落ちた。

着任して早々歓迎会で、部屋に男を連れ込むとはな…。

しかもイケメン…。見た目だけ。

散らかった部屋で健やかに眠る桧山さんは何だか異質の存在だ。

人生何が起こるか解らない。

だけど、パニックに陥る余裕もないほど私は疲れは果てている。

気力を振り絞ってシャワーを浴びにいく。

さっぱりして部屋に戻るとほんのり酒饅頭の香りがして気が滅入った。
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