ねぇ、松風くん。
「…もしもし…⁇」
受話器の向こう、躊躇いがちに声を発した佐々木さんの声が俺の耳を支配する。車の音もすれ違う人たちの声も、佐々木さんの声を聞いた瞬間 何も聞こえなくなった。
なんでこんな緊張してんだ。
たかが電話で。
「…っ、俺だけど。」
声が震えるのは、走っているせいなのか…それとも緊張しているせいなのか。
俺だけどって…何の考えなしに言ってみたものの、佐々木さんからの返事はなくて
もしかして、俺じゃ伝わらなかったか?
「…佐々木さん聞こえてる?」
不安に思いながらも、もう一度問いかけた俺に
「…う、うん。」
戸惑いながらも返事をする佐々木さんにホッとする。