呪われた姫君と怪盗
「秀哉。」
「なーに、アリスちゃん。」
「お前、自分が私にストーカー行為している自覚があるのか?」
「えっ」
なにトボけた声を出してるんだか。
それが、また私を無性に腹立たせる。
「昨日の学校から帰る時、校門で待っていたのは?」
「たまたまそこを通りかかったからです。」
「一昨日、喫茶インディアナで張込みしてた時、隣にさりげなく座ってきたのは?」
「それはたまたま迎えのビルで商会があって、その帰りに見かけたからです。」
「じゃあ、今日は?」
「……………っ。」
秀哉の焦りようがこっちまで伝わってきている。
相当な重症患者だな。
黙り込むってことは少しは自覚があるってことか?
というか、お仕事ちゃんとやってるの?
「仕事は優秀な部下に頼んである。だから…」「だ・か・ら?」
「わるぅ~い悪党に襲われないか不安で、アリスちゃんを防犯カメラや盗聴器を使って安否を毎日確認させていただいてますぅー。」
口を尖らせて言った。
こいつ、…開き直りよったぞ。
腕を組んで、頬は先程のハコフグの如く膨らんでいる。なんだか、可愛い。
だけど、私は許さないぞ。
「ストーカーって認めたな、秀哉。」
あぁ、しまったと思った顔になり、彼は深呼吸をして、
「世間一般様々は、これをストーカー行為と呼ぶかもしれないけど、僕は違うぞ!僕はただ、アリスちゃんを守りたいだけなんだよっ!わかる?この気持ちが?」
一気に喋ったせいか、秀哉の顔は真っ赤である。呼吸も少し乱れているようだ。
元々、肌が白いせいで血色が良いので熟れたりんごのようだ。
これが、世間からモテモテでイケてるイケメン社長には到底私は思えない。
私はこんな赤城秀哉は見ていて面白いと思う。
だから、こうして食事にも嫌々ながらも付き合えているとおもう。
だが、しかーし。
彼はただのIT企業の社長ではない。
世界屈指の超高速回転コンピューターソフトNOVA(ノバ)開発者であり、超凄腕のハッカー "ガーネット" なのだ。

どうして私一個人の位置情報を毎日防犯カメラで確認しているという証明がここで出来る。
「全く。それより、そろそろ時間だな、秀哉。」
「あれ、もうそんな時間?」
秀哉が自分の腕時計の時間を確認すると、
「20:45か。アリスちゃんは明日も学校だけど行くの?」

「最低週2は来いと学校長から言われてるんでな。日が超えるまでには自宅に着きたいと思う。秀哉、私は新幹線で帰る。」

「そんなら、僕も乗ろうかな。
ふっふーん。実はここだけの話、僕、アリスちゃんの隣の席のチケット持ってます。」


「へっ…?!」



ストーカー男には気をつけて。完。
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