怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】
異性として、同じ女としてと言われる評価はまだまだなようだがここは会社だ。
仕事に対してや同僚としての評価の方がずっと大事だ。
柊哉自身も部下としての美祈の評価は入社1年目の中で一際高かった。
だがもっと自分に自信を持ってほしい。
柊哉が美祈の心配な点をあげるとすればあの自信のなさだった。
終業時間になり、次々と帰宅する中で美祈もまたデスク回りを片づけ
「お疲れさまでした」
声とともに一礼しながら部署を出ていく。
「職員室の出入りみたいだよな」
あまりに礼儀正しい姿に積まれた書類を手に取りながら柊哉は小さく微笑んだ。