怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】
その時、美祈からメールが届いて
「私も今日はこれで出勤してみます」
あの古臭いメガネが消えている写真。
「おい柊ちゃん。座敷童もこれで出勤するって」
柊哉に向けて携帯を見せる。
「あぁ徐々に絶滅していくんだな」
「あれさ、他の女がやってても可愛いかね?」
「あの虫みたいな動きは、中々出来ないぞ」
「人の女を虫とは何だ虫って」
「お前も言ってただろって俺の部下を座敷童って言ったよな」
「おぅ。座敷童の呪いって言った」
言いながら二人の口元は微妙に緩む。
そしていつもより早く家を出た柊哉についていく瑛太。
当然それは、想像以上に緊張しているであろう美祈の激励。
エレベーターが3階で止まり
「おはよう」
中から2人が声をかける。
こうやって出会うのが普通。
会わなかったのは、会わないようにしていたからだ。
「おはようございます」
言いながら若干下を向いている。
「俺ら、素を知ってんだから」
「あ…そうか」
「大丈夫だ。俺がいる」
柊哉が美祈の肩を叩く。
「そのセリフが気に入らねぇが仕方ねぇ。頼むな」
エレベーターから降りる時は美祈も小さな笑みを浮かべた。