怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】
瑛太にエスコートされ開けられたドアから中に入ると和室にテーブル。
「あ…和室だ」
「奥にベッドあるみたいだ」
知っているのにそういう瑛太。
トコトコと奥へ歩いて行った美祈が真っ赤になって戻って来た。
わかったか。
「一緒に寝るの嫌?嫌なら布団もあるんじゃないかな」
「嫌っていうわけでもないんだけど…」
「あれこれ考えるな。温泉入りに来たんだろ」
内心瑛太だってドキドキなのに何でもない事のように平静さを見せる。
「お茶飲むか」
「うん」
畳の部屋は実家を思い出すなんていうどうでもいい物凄くつまらない話しから始め
明日はどこに行くかと相談。
瑛太のあぐらの間でガイドブックを読む美祈
最初なんかもう緊張で大変だったけれど今は、おいでと呼べば素直に座る。
瑛太が髪に首筋にキスを落とすとくすぐったそうに肩を竦めながら
ちゃんと応えようと瑛太の方を振り向きキスを受入れる。
そのまま押し倒したい事数度。
よく我慢したよ俺。
瑛太は美祈の部屋を出るたび自分を誉めた。
~♪
これは美祈のスマホ
マコからの出発の連絡。
可愛い浴衣があると大はしゃぎで迎えに来たマコと二人でまた大人の男二人を取り残して行ってしまう。
後ろをのんびりと歩きながら
「マコと間違いおこすなよ」
「犬だぞあれ」
温泉に入りに来るまでの時間…。
突如始まったテーブルを挟んでの戦い。
ボールはもちろん六角形に結んである浴衣帯
可愛い浴衣があるとみていたはずが気づけば
「2回以内で返すことね」
「本気でやっていい?」
「望むとこよ」
相当ムキになってやったようだ。
浴場の男湯と書かれた暖簾をくぐり
「あれは絶滅しても惜しくないな」
「いや柊ちゃん楽しそうだよ」
久しぶりの温泉に日ごろの疲れを癒し始めた。