怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】
「どこまでも着いてくに決まってるでしょ」
答えた私の横でものすごく盛大な安堵の息をつき
「行かない。結婚しないって言われたらどうしようかとすげぇ悩んだ」
「別れようって言われると思って凹んでた」
「バカ。1ヵ月半も離れるのが淋しいって言ってんのに別れられるわけないだろ」
頬から流れおちる涙を指でふきとってくれるけど
その指も本当に冷たくて
「冷たい手」
「あっためて」
私に手を差し出した。
だからその手を両手で包むと瑛太さんが私の左手をとって
「嵌めちゃうぞ」
指に持った指輪を見せる。
「いいか、もう一回聞くからな。ちゃんと答えろよ」
私はコクッと頷いた。
「結婚しよう」
「はい」
クスッと笑って左手の薬指にダイヤのリングをはめてくれた。
眩く光る指輪に
「こんなステキなのしたことない」
「俺が何でも美祈の一番最初だ」
「それが、瑛太さんで良かった」
「一緒に生きてくって決断するのは付き合った期間じゃねぇんだな。まぁ美祈がそこんとこも気にすると思ってたんだけどな」
「赤い糸ってほんとにあるのかも…。今思うと最初から魅かれてたんだと思うの。何でだかわからないのに瑛太さんと出かけたってことが」
あたしの言葉に瑛太さんが優しい顔で微笑み
その微笑みにあたしも微笑みを返した。
ピューッと吹き付ける風に寒いッってよりそったけれど避難しようって手を繋いで逃げるようにまた道の方へ出た。
歩きながら仕事の時間を聞くと
「ひとつは終わった。もうひとつは美祈のご両親に挨拶。OKしてくれたから頑張らないと」
「え?これだったの?」
「そうだよ。大仕事だよ」
嬉しそうで誇らしそうな瑛太さんの腕に凭れ幸せを感じた。