怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】
3階と5階を行き来する変な生活が始まったが、同時に空いた時間で瑛太も芹沢も荷物の整理が始まった。
2人とも、もうこのマンションには帰って来る事はない。
「どこにいても淋しい」
そういうロッキーの気持ちもわかる。
俺だって瑛太がこの家からいなくなるというのはちょっとした寂しさがある。
「マコ、このベッドとかここにあんの全部使っていいからな」
部屋から顔を出し当然のように言う瑛太。
「もう来ないもん」
「俺の代わりに柊ちゃん頼むよ。孤独死してたら笑えないだろ」
「リアル」
「リアルじゃねぇよ」
「マコが来ないと柊ちゃん独り言ばっかりの生活で可哀相だろ」
「いてもテレビに話しかけてるよ」
「だろ」
俺を笑いものにしながら、マコに来るよう約束させる瑛太。
お前らやっぱり似てるわ。
「課長、これマコのお茶碗とか」
芹沢もロッキーのものを持って降りて来た。
「美祈、持ってってフィンランドに置いてよ」
「割れちゃうから向こうで揃えておくよ」
「じゃあお箸だけでも」
「わかった。お箸は持っていくね」
そして次に来た時は
「これ、マコの枕と着替え」
完全に瑛太の部屋をロッキーの部屋化させてる気がしてならねぇ。
「おい、着替えとか持って帰れ」
「うん」
やけに素直だ。
「こっそり引き出しとか開けられたら嫌だし」
「しねぇよ」
そんな言い合いをしながらだったが
とうとう瑛太たちを見送る日がやってきた。