怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】
「柊ちゃんが一番俺たちの想いでって思えるものにした」
それは、瑛太が初めて芹沢を誘い、写真の撮影に連れていった時のものだ。
まだ座敷童そのもので、背の高い草の中に立つ芹沢。
風を感じているんだろう。
両手を横に広げ
古臭いメガネの中の瞳が閉じられていている写真だ。
「可愛いだろ」
「何でこれが可愛いか今でもわかんねぇけど可愛いな」
「たぶん、こん時が俺と美祈の運命が繋がった日かな」
フォトフレームに入れられリビングのボードの上に飾られた写真。
芹沢は猛反対したらしいが、俺たちにとっちゃやっぱりこれだ。
「なぁ…俺たち以外が見たら座敷童が他の妖怪と交信してると思うよな」
「柊ちゃん人の女にずいぶんと失礼だよな」
文句を言いながらも瑛太もずいぶんとこの写真を見て自問自答したと終いには笑っていた。
疲れて帰宅した日にもこの写真が俺を癒してくれるだろう。
さんざん酷い事を言って笑ったけど
いい写真だ。
お前の座敷童に対する愛情が感じられるよ。
瑛太、お前はやっぱりプロだな。