怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】
決意して2日目
意外と早くその日はやってきた。
エレベーターを下りると前方に壁に張りつき辺りを見回し
一歩踏み出してはまた辺りを見回す芹沢の後ろ姿。
「プッ同じマンションだったのか」
笑い出したいのをグッと堪えこちらまで見つからないよう鉢植えの陰に隠れて彼女が出るのを待ってからゆっくりと足を進めた。
ポストを確認すると301 芹沢
「あんなに努力してるんだから503の俺はエレベーターも気を付けてやらなきゃな」
思わず口元を緩めながらエントランスを抜けた。
301って事は1LDK1人暮らしか。
01~02は単身者用の1LDK
03~05は夫婦向けと言われる2LDK
06~07はファミリータイプの3LDKとなっていたはず。
夫婦向けに瑛太と住むって最悪な気分。
その日の通勤中は、芹沢の行動がラッシュの不快感さえも緩和するほど楽しさを与えてくれた。